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Journal

2026.05.19

連載:わたしを歩く|メイクアップアーティスト田崎未来が支援で呼び起こす自尊の美

歩くこと、寄り道をすること——その一歩の積み重ねが、知らなかった世界や思いがけない人との出会いを連れてくる。結果として、歩むという行為そのものが人生を豊かにしてくれる。それは、オッフェンが大切にしているフィロソフィのひとつです。自分の足で歩き、その途上で出会ったものによって変えられていく人生観——「旅」というひとつの区切りを通して、その軌跡を魅せてもらう新連載<わたしを歩く>。

 

今回のゲストは、フェムケアブランド「hemmate(フェメイト)」のブランドディレクターであり、自ら立ち上げたボランティアプロジェクト「peacend(ピースエンド)」で社会活動を広げるプロデューサー、田崎未来(はるか)さん。メイクアップアーティストとして芸能人やモード誌の現場を華やげながら、コロナ明けの世界一周を起点に、女性の健康、子どもたちの教育、そして小さな行動変容のきっかけづくりへと、確かに歩幅を広げ続けています。

 

マルチに活躍する彼女が、次の歩みをともにする旅のパートナーとして選んだオッフェンは「pointed-DOILY」。繊細なコットンレースを思わせる大きめのメッシュが涼やかで、浅めのポインテッドトゥが足元に凛とした印象を添えます。つい歩きたくなる歩きやすさと、日常にも特別な場にもなじむ佇まい。その一足とともに、彼女がこの2年間で見てきた景色と、その土地にまこうとしている小さな種について、お話を伺いました。

 

彼女が次の旅のパートナーへと選んでくれたオッフェンは、pointed-DOILY。大きめのメッシュが軽やかでありながら、ポインテッドでスタイリッシュな印象を作り出します

 

人生が真っ白になった日、ふいに旅へと歩き出した

「この決断を後悔しないためには、今いちばんやりたいことをやるしかない。もうパッて、世界一周、って浮かんでいたんです」

 

未来さんが約1年の世界一周へ発ったのは2年前のこと。結婚してニューヨークに移住する予定が破談になり、目の前がまっさらになったことがきっかけでした。話し合いが終わる頃には、すでに歩き出すことを決めていたといいます。歩みのコンセプトに掲げたのは、「新しいモノ・人との出会い」「ダイビング」「社会貢献活動」の三つでした。

 

彼女を突き動かした原点のひとつに、コロナ禍の「おうち時間」がありました。自分がいかに多くのプラスチックごみを出しているかに気づき、ごみを減らすだけでなく、プラスチックを溶かしてヘッドピースなどのアート表現へと生まれ変わらせる試みをスタート。そこから彼女の意識は、環境問題から教育格差、女性差別へと一気に広がっていきました。

 

PARCOの広告に起用されたヘッドピースをはじめ、海外メディアなどでも採用された作品

PARCOの広告に起用されたヘッドピースをはじめ、海外メディアなどでも採用された作品

PARCOの広告に起用されたヘッドピースをはじめ、海外メディアなどでも採用された作品

女性と子どもと手を取り、性知識の旅へと歩き出す

これまで未来さんは、タンザニア、インド、グアテマラを訪れ、性教育の場づくりと物資支援を続けてきました。その背景にあるのは、性教育の不足が若年妊娠を招き、就学の中断、シングルマザー化、貧困、就業機会の喪失へと連なっていく構造を、現地で目の当たりにしたことでした。

WHOによれば、低・中所得国では15〜19歳の少女の妊娠が年間推計2,100万件にのぼり、その約半数が意図しない妊娠だとされています。(※1)

10代での妊娠は、教育や将来の選択肢に大きな影響を及ぼし得るものです。そんな現実が、国境を越えて女性たちの足元に広がっていることを、未来さんは旅のなかで実感していきました。

「現地の人たちは、タブーだから教えられないし、先生にも親にも知識がない。2年前に訪れたときに、ここでは全く性教育が足りてないことを知ったんです。次に行ったときは、絶対に何かをやるって決めていました」

2度目の訪問で赴いたグアテマラの小さな村、サン・マルコス・ラ・ラグナでは、地域支援に取り組む非営利団体Konojel(コノヘル)と連携。英語とスペイン語の通訳体制を現地で整えながら、2時間の性教育ワークショップを実施しました。

サン・マルコス・ラ・ラグナでは、「母が子どもにどのように性教育を伝えるか」をテーマにワークショップを開催。現地団体と協力しながら、親子の対話の入口をつくった

サン・マルコス・ラ・ラグナでは、「母が子どもにどのように性教育を伝えるか」をテーマにワークショップを開催。現地団体と協力しながら、親子の対話の入口をつくった

タンザニアの母たちと少女たちをつなぐ、布ナプキンの願い

初めてのタンザニアでは、世界的なボランティア団体IVHQを通じ、現地団体Lifted Strong Community Organization(LISCO)へ参加。2週間にわたり、子どもたちへの性教育と、現地の母親たちが手づくりする布ナプキンの買い取り・配布を並行して行いました。

 

「月1万円で暮らしている女性たちにとって、200円のナプキンは本当に大きな負担。買えないから、ぼろ布や、学校のわら半紙を丸めたものを使うこともある。いちばん衝撃的だったのは、乾いた牛糞を中に入れて経血を吸わせるという話でした。それで尿路感染症になる女性がとても多いという現実があるんです。水道水は茶色くて飲めないし、シャワーの水も濁っている。不衛生な環境でも、そこで生まれたから選べないんですよね」

 

 

再訪時には、タンザニア在住の日本人活動家・菊池モアナさんが関わる現地の生理用品工場からも製品を買い取り、配布しました。物資を渡すだけではなく、使い方を伝えること。それもまた、未来さんにとって大切な支援の一部でした。

 

再訪時には、タンザニア在住の日本人活動家・菊池モアナさんが関わる現地の生理用品工場から製品を買い取り、使い方のレクチャーとともに配布

再訪時には、タンザニア在住の日本人活動家・菊池モアナさんが関わる現地の生理用品工場から製品を買い取り、使い方のレクチャーとともに配布

再訪時には、タンザニア在住の日本人活動家・菊池モアナさんが関わる現地の生理用品工場から製品を買い取り、使い方のレクチャーとともに配布

インド、カンボジアでは学用品を手渡すクリスマスに

カンボジアでは、NPO法人earth treeの代表で、現地に「earth treeビレッジ」を築く加藤大地さんの活動に合流しました。クリスマスの時期には、地域の子どもたち約250人分のプレゼントを購入し、一人ひとりに手渡したといいます。

 

「衣食住、雇用、教育、宿泊施設までがひとつの拠点で完結しているearth treeビレッジは、理想的な地域支援のモデルだなと思いました」

 

インドの孤児院では、日本から持参した消せるボールペン「フリクション」約300本を寄付。各地で活動する日本人実践者に自らダイレクトメッセージを送り、現地で会い、輪を広げていく。出会いが次の実践へと変わっていく彼女の歩みは続きます。

 

インドの孤児院では、日本から持参した「フリクション」約300本を寄付。「子どもたちの、魔法を見るような表情が忘れられない」と未来さん

インドの孤児院では、日本から持参した「フリクション」約300本を寄付。「子どもたちの、魔法を見るような表情が忘れられない」と未来さん

インドの孤児院では、日本から持参した「フリクション」約300本を寄付。「子どもたちの、魔法を見るような表情が忘れられない」と未来さん

インドの孤児院では、日本から持参した「フリクション」約300本を寄付。「子どもたちの、魔法を見るような表情が忘れられない」と未来さん

「私だからできること」として、女性のためのプロダクトを作りたかった

「フェメイト」は膣内洗浄用ジェル。pHバランスを整え、におい、経血残り、違和感などのケアプロダクト。生理後や性交後など、日々の衛生管理やトラブル予防の一助になる

未来さんがディレクションしているプロダクトは、フェムケアブランド「hemmate(フェメイト)」のインサイドケアジェル。膣内と同じ弱酸性を採用し、日々の衛生管理や、におい、経血残り、違和感などのケアを支える製品です。

 

メイクアップアーティストでありながら、なぜメイク用品ではなく、女性のセルフケアを支えるプロダクトを手がけるのか。その問いに、未来さんは迷いなく答えます。

 

「メイクアップアーティストではありますが、化粧品を新しく作ること自体には、全然興味がなかったんです。世の中に化粧品はあふれているし、私がやる必要はない。でも“私だからできること”を考えたとき、女性を助けるプロダクトを作りたいと思ったんです」

 

フェムテック領域を選んだ背景には、自身の身体と向き合ってきた時間がありました。生理不順、重い生理痛、おりものの不安定さ。悩みを抱えていたのは自分だけではないはずだという確信が、彼女を動かしました。

 

「19歳から10年いたアメリカでは、インティメートソープを使うのは当たり前で、ヨーロッパには専用棚があるほど。日本では毎日お風呂に入り、頭の先から爪先まで徹底的にきれいにするのが一般的なのにもかかわらず、デリケートゾーンケアはまだ十分に根づいていません」

 

国際的には包括的性教育の重要性が広く示される一方で、日本では性の健康を日常的に語る文化が、まだ十分に育っているとは言いがたい面があります。清潔文化と性の健康意識との温度差は、未来さんの中に確かな違和感として残り続けていたのだそうです。

「1個でも」ごみ拾いの習慣から生まれたpeacend

2025年11月には、みんなのやさしい気持ちがつながるコミュニティ「peacend(ピースエンド)」をスタート。ごみが散らかるグアテマラのビーチでごみ拾いをしたり、タンザニアの山奥に位置するマサイ族の村で現地の女性たちと作ったネックレスの売上を全額寄付したりと、活動を少しずつ広げています。

 

「地元の人は、ごみを捨てることが悪いという感覚自体がない。だから、やっている姿を見せる。“外から来た人が自分の町のごみを拾っている”ということを恥に感じる人が一人でもいれば、そこから種がまかれたらいいなと思っています」

グアテマラでのゴミ拾い活動

 

メイクアップアーティストとして活躍しながら、数か月ごとに国外でボランティア活動に取り組む未来さん。その原動力は、どこにあるのでしょうか。

 

「世界中を回っていて、一人でやるには限界があると痛感したんです。同じ気持ちを持った人が10人、100人集まったら、一気に10倍、100倍になるじゃないですか。だったら、やりたい人だけでいいから、みんなで楽しみながらやろうって。“世界を変えたい”って言うと大層すぎるから、私は種まきでいいんです。ペットボトルを今日は買うのをやめようかな、という小さな意識の変化が、10人、100人、1000人と増えたら、いつか大きな力になる。その一人目のきっかけになるカードを、差し出せる存在でありたいと思っています」

 

マルチに活躍する彼女が選んだマルチなオッフェン

モード誌や芸能人のメイクアップを手がけながら、社会活動にも軽やかに足を運ぶ未来さん。その歩みを支える一足として、オッフェンの「pointed-DOILY」を選んだ理由を聞きました。

 

「このシューズを選んだのは、いろんな場面で、季節を問わず履けるところです。デニムに素足で合わせたらカジュアルに楽しめるけれど、黒のロングドレスに合わせたらフォーマルにもなる。すごくコンパクトで軽くて、しかも洗えるから、どこへでも持っていける。旅に持ってこいですよね。1足あれば、どんなTPOにも対応できます」

 

歩きやすいだけではなく、旅先での装いを美しく整えてくれること。小さく持ち運べて、気負わず洗えること。pointed-DOILYは、未来さんのようにさまざまな場所へその足で赴き、その場ごとの役割をしなやかに切り替える人にこそ似合う一足です。

 

自分の足で立ち、自分のスピードで歩き、拾えるものを拾い、差し出せるカードを差し出していく。その連なりが、世界の景色を少しずつ描き直していく。オッフェンが讃えたい「歩く力」の、ひとつのかたちが、ここにありました。

 

※1 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/adolescent-pregnancy

 


田崎未来さんが履いているシューズはこちらから


 

プロフィール

田崎未来

メイクアップアーティスト/ブランドプロデューサー/社会活動家。19歳で渡米、ニューヨークでメイクアップアーティストとして7年活動したのち帰国。フェムケアブランド「フェメイト」のブランドディレクション、ビジュアル監修、製品コンセプト設計を担当。コロナ明けに約1年の世界一周を経て社会活動への関心を深め、2025年11月にNGO「peacend」を立ち上げ、国内外で性教育支援、物資支援、ごみ拾い活動を展開している。

 

Instagram:@harukadebeau / @peacend_official


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photographer TOMOKO MEGURO
editorial director: YUKA SONE SATO(LITTLE LIGHTS)