連載:あの人の贈りもの|誰かの豊かさを作る引田舞さんの幸せへの感性

ありがとう。おめでとう。これからもよろしく。そんな気持ちを伝えるために、日本には季節ごとの贈りものやお土産という風習があります。オッフェンが掲げる「一歩ずつ、心地いいほうへ。」というミッションを果たすためにも、コミュニケーションが希薄になりがちな今、相手をおもんぱかる贈りもの文化を改めて考えたい。そんな思いでスタートした新連載。新木場のCASICAをはじめ、素敵な空間を様々な軸でディレクションする引田舞さんに、贈りものについてお聞きしました。
遠方・常温・日持ち。条件の多い作家さんへのご挨拶に最適
2017年、東京の新木場に突如オープンしたショップ、CASICAを知っていますか? 薬膳を取り入れたカフェ、現代的な工芸品や伝統作品、インテリアやコスメ、器など、ウェルネスやエシカルといったキーワードを捉えたセンスの良いライフスタイルの提案を手掛けているのが、今回のゲスト、引田舞さんです。舞さんとパートナーの鈴木善雄さんが率いるCIRCUSは、店舗設計やインテリアデザイン、空間スタイリング、商品の開拓やキュレーションから店舗プロデュースまで、暮らしを美しく彩っています。国内外でたくさんのものに触れて磨き上げた審美眼で、おすすめのギフトに選んでくれたのは、Chiyaba(チャバ)でした。
「作家さんに会いに地方に行くことがすごく多いんです。1週間に車で4〜5軒回ることもありますし、長期の旅になると6セットぐらい車に置いてホテルから行き来することも。だから常温で日持ちするもの、車中に置いておいてダメにならないものでないといけないので、お煎餅とかチャイベースとかを選ぶことが多いですね。作家さんのアトリエに伺うと、旦那さんが作家の場合や、ご夫婦で作家をされている場合も多くて、伺ったときにお二人にお会いできることが結構多いんです。すると、コーヒーが苦手な方も結構いらっしゃる。でもお茶だったらどちらにも喜んでもらえることも多いんです」
Chiyabaとの出会いは、数年前。CASICAでパントリーエリアをオープンさせた時、自分たちの年齢や環境に応じて、身体をいたわり健康な食生活を提案したいと考えた時に遡ります。誰かの顔が浮かぶギフトを充実させたいと思った時に、Chiyabaを運営する二人の顔が浮かび、チャイベースや缶入りの茶葉を販売することにしたのだそうです。以来、Chiyabaのアディカリ明日美さんご夫婦と舞さんご夫婦は、家族ぐるみでお付き合いする仲。彼らの手掛けるモダン・ネパールレストランADIの2店舗目が入っている玉川高島屋のフードコートに子連れで集合し、食べて・おしゃべりして・解散!なんてこともしばしば。
Chiyabaは、ADIの店主でもある夫のアディカリ・カンチャンさんが2017年にネパール東部パティバラという小さな村で発見した「世界一美味しい」白茶が原点になっています。標高2,500~3,000メートルの高地で栽培された茶葉は、様々な植生が積もって堆積したネパール独特の風味が特徴。ヒマラヤを望みながら、郷土の人々も豊かになる、循環するお茶です。
「『Chiyaba』には『お茶の場所』という意味があるんです。ダージリンに近いネパールのお茶は、中国茶っぽいものから紅茶っぽいものまで色々。アジアを旅すると各地にお茶屋さんがあるのですが、その土地の風土や歴史が影響して作られた、ダイナミックでロマンに満ちたストーリーがある。例えばインドでは、植民地時代にイギリス向けに紅茶を作っていたものの、ふわふわの茶葉は自分たちが飲むことはできない。残りをどうにか飲めないかと独自で開発したのがチャイになったという一節もあります。スパイスと同じで、戦いが起こるほど人を魅了する、そういった文化や旅の感覚を香りとともに感じてもらえたら、と思っています」(明日美さん)
贈りものが多い、インテリアのプロならではのセレクト哲学
舞さんは仕事柄、新たに知っていく人がどんどん増えているのだそう。作家さんへの訪問や、イベントの出展依頼なども日常茶飯事。手土産は自己紹介のような気持ちで、気合いも入る。旦那様と話し合った結果、盛りだくさんになってしまうこともあるんだとか。工房が併設されている作家さんのご自宅に伺うときは、家で使えるハンドソープやハンドタオルにしたり、お子さんのいるご家庭には、食べ物や、お醤油とお米のセットなど「重たすぎない日用品」を。逆に、昔からよく知っている人には、会話から好みや家の様子を察して、お皿や、愛用しているキッチングッズ、タオルなどを贈ります。結婚や同棲といった特別な時は、本人から希望のジャンルを聞き出して、その中から自分が使ってみてベストだと思うものを選んでいます。
「考えている時間もいいし、そのやりとりも楽しい。もちろん何でもないサプライズ的なのも嬉しいですよね。どんな相手でも、心を込めて選ぶのって大切だと思うんですよね」
人の関係性や、季節の行事への感覚が薄れてきた現代。教師と生徒、師弟関係といった見えない階段が減ることは、コミュニケーションが取りやすくなる反面、繋がりの認識や、相手をおもんぱかる解像度の低さへと繋がっているようにも感じられます。直接ふれあい、気持ちを形に乗せて伝え合うことは、見えないバリアを解き放ち、調和への心を育む、心地良い社会へのちいさなきっかけになります。
「私たちは、新しい場所を開拓して、出会って友達になって……ということをずっとしているのですが、お土産や手土産を持っていくことは欠かせません。仕事も、本当に良いものじゃないと仕入れたくないし、好きだから応援したい、お取引したいと思う。そう考えると、やっぱり仕事とプライベートの区切りがあんまりなく、良いものを選んでいます」
日本全国を旅しながら、素敵なもので豊かさをつなげる舞さんの足元とは

日本全国だけでなく海外へも家族とともに買い付けに行く舞さん。お店やスタイリングなど、立ち仕事も多い足元のこだわりについてお聞きしました。
「結構パンツスタイルが多いので、足元にボリュームがある靴が好きです。ローファーとかスニーカーとか、ボリュームがある黒が結構好きなんです。それに、足の幅が広くて甲高なんで、あんまり綺麗なレディな靴が合わないんですよね。オッフェンのsquare-CUBICA LACE / BLACKは、つま先の部分がしっかりスクエアで可愛いなと思って選ばせてもらいました。すごく楽ちんだし、ストレスがないので、どこでも行けそうです!」
心理学者ダニエル・カーネマンは「”今この瞬間の気分の良さ”の集積こそが幸福の重要な側面である」と主張していました。人生において幸せを測るとしたら、”美味い”や”いい気持ち”、”いい香り”の瞬間を、1日の中でどれだけ得ることができたのかであると言えるでしょう。自分が磨き上げたセンスと経験で誰かの豊かさを作る、舞さんのもの選びが、今日もどこかの誰かの幸せを作り出しているのです。
引田 舞さんが履いているシューズはこちらから
引田 舞さんがギフトに選んだおすすめのお店

Chiyaba
モダン・ネパール料理ADIのオーナーシェフ、アディカリ・カンチャンと妻のアディカリ明日美によるスペシャルティ・ティーブランド。ネパールのパンチャー地方で作られる高品質な白茶、チャイやオリジナルブレンドのティーを提供する。ゴミや無駄な装飾を排除した紙袋を採用。
https://www.instagram.com/chiya_ba/
プロフィール
引田 舞
CIRCUSの共同主宰として、ブランディング、インテリアデザイン、ショップディレクション、バイイング、スタイリング、子供服ブランドなど、幅広く手掛ける。プライベートでは2児の母
instagram:@mai__hikita
offen editorial team
photographer: Chizuru Maeda
editorial director: YUKA SONE SATO(LITTLE LIGHTS)

ありがとう。おめでとう。これからもよろしく。そんな気持ちを伝えるために、日本には季節ごとの贈りものやお土産という風習があります。オッフェンが掲げる「一歩ずつ、心地いいほうへ。」というミッションを果たすためにも、コミュニケーションが希薄になりがちな今、相手をおもんぱかる贈りもの文化を改めて考えたい。そんな思いでスタートした新連載。新木場のCASICAをはじめ、素敵な空間を様々な軸でディレクションする引田舞さんに、贈りものについてお聞きしました。
遠方・常温・日持ち。条件の多い作家さんへのご挨拶に最適
2017年、東京の新木場に突如オープンしたショップ、CASICAを知っていますか? 薬膳を取り入れたカフェ、現代的な工芸品や伝統作品、インテリアやコスメ、器など、ウェルネスやエシカルといったキーワードを捉えたセンスの良いライフスタイルの提案を手掛けているのが、今回のゲスト、引田舞さんです。舞さんとパートナーの鈴木善雄さんが率いるCIRCUSは、店舗設計やインテリアデザイン、空間スタイリング、商品の開拓やキュレーションから店舗プロデュースまで、暮らしを美しく彩っています。国内外でたくさんのものに触れて磨き上げた審美眼で、おすすめのギフトに選んでくれたのは、Chiyaba(チャバ)でした。
「作家さんに会いに地方に行くことがすごく多いんです。1週間に車で4〜5軒回ることもありますし、長期の旅になると6セットぐらい車に置いてホテルから行き来することも。だから常温で日持ちするもの、車中に置いておいてダメにならないものでないといけないので、お煎餅とかチャイベースとかを選ぶことが多いですね。作家さんのアトリエに伺うと、旦那さんが作家の場合や、ご夫婦で作家をされている場合も多くて、伺ったときにお二人にお会いできることが結構多いんです。すると、コーヒーが苦手な方も結構いらっしゃる。でもお茶だったらどちらにも喜んでもらえることも多いんです」
Chiyabaとの出会いは、数年前。CASICAでパントリーエリアをオープンさせた時、自分たちの年齢や環境に応じて、身体をいたわり健康な食生活を提案したいと考えた時に遡ります。誰かの顔が浮かぶギフトを充実させたいと思った時に、Chiyabaを運営する二人の顔が浮かび、チャイベースや缶入りの茶葉を販売することにしたのだそうです。以来、Chiyabaのアディカリ明日美さんご夫婦と舞さんご夫婦は、家族ぐるみでお付き合いする仲。彼らの手掛けるモダン・ネパールレストランADIの2店舗目が入っている玉川高島屋のフードコートに子連れで集合し、食べて・おしゃべりして・解散!なんてこともしばしば。
Chiyabaは、ADIの店主でもある夫のアディカリ・カンチャンさんが2017年にネパール東部パティバラという小さな村で発見した「世界一美味しい」白茶が原点になっています。標高2,500~3,000メートルの高地で栽培された茶葉は、様々な植生が積もって堆積したネパール独特の風味が特徴。ヒマラヤを望みながら、郷土の人々も豊かになる、循環するお茶です。
「『Chiyaba』には『お茶の場所』という意味があるんです。ダージリンに近いネパールのお茶は、中国茶っぽいものから紅茶っぽいものまで色々。アジアを旅すると各地にお茶屋さんがあるのですが、その土地の風土や歴史が影響して作られた、ダイナミックでロマンに満ちたストーリーがある。例えばインドでは、植民地時代にイギリス向けに紅茶を作っていたものの、ふわふわの茶葉は自分たちが飲むことはできない。残りをどうにか飲めないかと独自で開発したのがチャイになったという一節もあります。スパイスと同じで、戦いが起こるほど人を魅了する、そういった文化や旅の感覚を香りとともに感じてもらえたら、と思っています」(明日美さん)
贈りものが多い、インテリアのプロならではのセレクト哲学
舞さんは仕事柄、新たに知っていく人がどんどん増えているのだそう。作家さんへの訪問や、イベントの出展依頼なども日常茶飯事。手土産は自己紹介のような気持ちで、気合いも入る。旦那様と話し合った結果、盛りだくさんになってしまうこともあるんだとか。工房が併設されている作家さんのご自宅に伺うときは、家で使えるハンドソープやハンドタオルにしたり、お子さんのいるご家庭には、食べ物や、お醤油とお米のセットなど「重たすぎない日用品」を。逆に、昔からよく知っている人には、会話から好みや家の様子を察して、お皿や、愛用しているキッチングッズ、タオルなどを贈ります。結婚や同棲といった特別な時は、本人から希望のジャンルを聞き出して、その中から自分が使ってみてベストだと思うものを選んでいます。
「考えている時間もいいし、そのやりとりも楽しい。もちろん何でもないサプライズ的なのも嬉しいですよね。どんな相手でも、心を込めて選ぶのって大切だと思うんですよね」
人の関係性や、季節の行事への感覚が薄れてきた現代。教師と生徒、師弟関係といった見えない階段が減ることは、コミュニケーションが取りやすくなる反面、繋がりの認識や、相手をおもんぱかる解像度の低さへと繋がっているようにも感じられます。直接ふれあい、気持ちを形に乗せて伝え合うことは、見えないバリアを解き放ち、調和への心を育む、心地良い社会へのちいさなきっかけになります。
「私たちは、新しい場所を開拓して、出会って友達になって……ということをずっとしているのですが、お土産や手土産を持っていくことは欠かせません。仕事も、本当に良いものじゃないと仕入れたくないし、好きだから応援したい、お取引したいと思う。そう考えると、やっぱり仕事とプライベートの区切りがあんまりなく、良いものを選んでいます」
日本全国を旅しながら、素敵なもので豊かさをつなげる舞さんの足元とは

日本全国だけでなく海外へも家族とともに買い付けに行く舞さん。お店やスタイリングなど、立ち仕事も多い足元のこだわりについてお聞きしました。
「結構パンツスタイルが多いので、足元にボリュームがある靴が好きです。ローファーとかスニーカーとか、ボリュームがある黒が結構好きなんです。それに、足の幅が広くて甲高なんで、あんまり綺麗なレディな靴が合わないんですよね。オッフェンのsquare-CUBICA LACE / BLACKは、つま先の部分がしっかりスクエアで可愛いなと思って選ばせてもらいました。すごく楽ちんだし、ストレスがないので、どこでも行けそうです!」
心理学者ダニエル・カーネマンは「”今この瞬間の気分の良さ”の集積こそが幸福の重要な側面である」と主張していました。人生において幸せを測るとしたら、”美味い”や”いい気持ち”、”いい香り”の瞬間を、1日の中でどれだけ得ることができたのかであると言えるでしょう。自分が磨き上げたセンスと経験で誰かの豊かさを作る、舞さんのもの選びが、今日もどこかの誰かの幸せを作り出しているのです。
引田 舞さんが履いているシューズはこちらから
引田 舞さんがギフトに選んだおすすめのお店

Chiyaba
モダン・ネパール料理ADIのオーナーシェフ、アディカリ・カンチャンと妻のアディカリ明日美によるスペシャルティ・ティーブランド。ネパールのパンチャー地方で作られる高品質な白茶、チャイやオリジナルブレンドのティーを提供する。ゴミや無駄な装飾を排除した紙袋を採用。
https://www.instagram.com/chiya_ba/
プロフィール
引田 舞
CIRCUSの共同主宰として、ブランディング、インテリアデザイン、ショップディレクション、バイイング、スタイリング、子供服ブランドなど、幅広く手掛ける。プライベートでは2児の母
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offen editorial team
photographer: Chizuru Maeda
editorial director: YUKA SONE SATO(LITTLE LIGHTS)