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Journal

2025.05.19

ユニリーバ社とのコラボシューズが完成。プラスチック問題を解決するための心得とは?

世界では年間約4億トンのプラスチック廃棄物が発生していますが、そのうちリサイクルされるのはわずか9%。残りの大部分は埋立地や焼却処分、あるいは自然環境に流出し、環境負荷の原因となっています。毎年1,900万~2,300万トンが湖、川、海などの水域に流出し、海洋生物の生息地を汚染しては生態系を破壊しています(※1)。

 

世界を脅かすプラスチックの問題に対して、さまざまな企業が乗り出すきっかけとなったSDGsが策定される少し前、ユニリーバ社は環境への対策に真摯に取り組む戦略を高らかに宣言。地球環境への負荷を半減させながら、収益を倍以上に伸ばし、世界の羨望を集めました。

そんな本社を持つユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社の繁田知延さんから連絡をいただいたのは2023年のことでした。「糸化した非飲料PETボトルを、靴の原料として活用できないか」というご相談でした。その志に共感しつつも、地球上のごみを減らすことに真剣に取り組む私たちは、この素晴らしい試みこそ、継続することが本質と捉え、議論を重ねてきました。かくいう繁田さんも、ユニリーバ社の企業理念に感動し、入社したのだそうです。

 

「元々日系の商社で勤務していたのですが、ユニリーバに飛び込み営業に来た時に初めて『サステナビリティを暮らしの当たり前にする』という考え方に触れたんです。環境や社会に配慮しながらもビジネスを成長させている企業が世の中に存在するのか、と衝撃を受けました」

 

プラスチック回収・再生のギアを上げるUMILE

現在、ユニリーバ社が掲げるサステナビリティの長期目標は、気候・自然・プラスチック・生活水準の4カテゴリーに分かれています(※2)。そのうち、プラスチックに関しては、非再生のものは2028年までに40%削減。2025年までに販売量を超えるプラスチック容器を回収し、再生すると宣言しています。目標達成に向けて、世界中で環境負荷を最小にしながら、プラスチックを大切な資源として活用できるように、企業努力を重ねているとか。再生プラスチックへの切り替え、プラスチック使用量の削減など、製品を作る上で多くの取り組みが国内でもなされている中、さらに、日本で独自に「UMILE(ユーマイル)」という資源循環プラットフォームを発足。繁田さんをはじめ、社内の有志によるチームで、現在のUMILE登録者は115万人に達成しているそうです。

「UMILEは、環境に配慮した行動をポイントとして還元する仕組みです。LINEでユニリーバ・ジャパンとお友達になっていただくところからスタートします。

 

ポイントのため方として、ボトルに比べて70~90%プラスチックを削減できる詰め替え製品を購入してレシートを撮影し、LINEに送っていただくと1ポイント差し上げています。また、使い終えたユニリーバ製品を洗って乾かした状態で回収ボックスに持参いただき、投函前に写真を撮ってLINEに送ってもらうと、こちらも1ポイント差し上げています。2025年5月現在、全国約150カ所にボックスを設置しています。さらに、環境活動への参加でもポイントを付与し、持続可能なアクションを日常に根付かせる仕組みとしています。1ポイント20円相当という高還元率ということもあり、多くのお客様にリピートいただいています。さらに、回収物の大多数が洗浄・乾燥されており、日本人の几帳面さや、飲料ペットボトルリサイクルの習慣(ラベルをはがし、水ですすいで分別)が功を奏しているのかもしれません」

 

2年のコラボシューズ開発期間に立ち込めた暗雲、そして突破

オッフェンとの継続的なコラボレーションが無事決定し、いざ商品開発へ。当然のことながら、柔らかさや履き心地がコンセプトに劣ることはありません。難しかったのは、素材の違いでした。オッフェンでは通常、飲料ペットボトルを再利用した糸を使用しています。対して、ユニリーバ社のシャンプーボトルは非飲料ペットボトルなので、風合いなどに差が生まれることがわかったのです。しかし、一定の価値観に固執するのではなく、違いも“味”として受け入れられるよう、マインドセットを転換。申し分のない品質になるまで開発を進めた結果、2年かけてやっと完成したのがこちらです。繁田さんにも気に入っていただけました。

お客様から回収されたプラスチック容器はペレットに加工され、糸に生まれ変わります

お客様から回収されたプラスチック容器はペレットに加工され、糸に生まれ変わります

お客様から回収されたプラスチック容器はペレットに加工され、糸に生まれ変わります

「実際、私自身も普段から履かせていただいていますが、先日、妻にプレゼントしたところ、彼女も“毎日履いてる”と言うほど気に入ってくれています。サステナビリティに配慮しているのはもちろんのこと、機能性もしっかりしている。だからこそ愛用者が多いのだと実感しています」

G7広島サミットの際に、DOVEの容器からカードケースを作成。アーティストの手描きで世界にひとつ

 

UMILEの成功を支えたのは「諦めない心」

ユニリーバ・ジャパンでは、他にも様々なアップサイクル品の開発を数多く行っていますが、ヴァージンプラスチックに比べて再生品は高価であったり、開発に時間が掛かったりと、困難なことが多いのが実状です。しかし、冒頭にもあるように、世界を席巻するプラスチックの問題を効率的に解決することは、喫緊の問題です。

 

実は、UMILE発足までに繁田さんには人知れぬご苦労があったそうです。ユニリーバでは、サステナビリティ経営を掲げる中、特化した部署を国内法人で設けずに、誰もが業務を通してサステナビリティを推進する体制を取っています。繁田さんもUMILEのアイデアが生まれてから、何度も上司に掛け合い、経営会議でピッチを重ね、チーム発足に至ったのだとか。UMILEの成功の裏にあったのは「諦めない心」だということです。また、省庁や各自治体の公募事業採択、そのアウトプットとしてリサイクルスキームの構築やアップサイクル品の開発、活動をご評価いただける外部アワードの受賞等、断続的に成果を出していくことで、社内外の認知を少しずつ拡げていくなど、「輝く毎日をすべての人に」のパーパスの元、一歩一歩着実に進んでこられたのです。

 

オッフェンも、ビジネスを通して課題を解決することは大前提。なによりも、少しでも多くの方に心地よくおしゃれを楽しみながら、たくさん履いていただきたい。軽やかな毎日を送りながら、世界のプラスチックごみの削減に貢献できるよう、少しづつですが着々と進めてまいります。コラボシューズの方も、店頭でぜひお手にとってみてくださいね。

オッフェンプロデューサー/デザイナー 日坂さとみ

ユニリーバコラボ 概要
※1https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/beat_plastic_pollution/※2 https://www.unilever.co.jp/sustainability/


 

Information
Öffen × ユニリーバ・ジャパンコラボレーション

<発売日>
2025年5月20日(火)

 

<商品情報>
pointed-UMILE 19,800円(税込)
サイズ展開 36〜42

 

<お取り扱い店舗>
・Öffen公式ウェブショップ
・Öffen the House 代官山店
・Öffen Kitano House 北野店
・Öffen 西宮阪急店
・Öffen 玉川髙島屋店S•C店
・Öffen 福岡天神店

 

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Öffen Journal Editorial Team
photographer: ERI KAWAMURA
text: YUKA SONE SATO (LITTLE LIGHTS)