歩くからこそ素敵が見つかる。Öffen Kitano Houseから始まる路

2022年にオープンしたÖffen Kitano Houseは、コーヒーショップや書店が立ち並ぶ、坂道の途中。安藤忠雄氏が設計したヴィンテージビルの2階に位置しています。駅から少し離れたこの立地に旗艦店を設けたのは、心地良く散歩をしながら街の素敵なものを五感で楽しんでほしいと言う思いが込められているから。Öffen Kitano Houseを通して、お客様だけでなく、スタッフや地域といった全ての関わり合う人々に届けていきたいものがあります。長年のブランドビジネスのキャリアを持つディレクター日坂がたどり着いた、ひとつの答えなのかもしれません。
ーー神戸でお買い物と言えば、旧居留地や大丸周辺が中心です。旗艦店を北野に選んだのには、どのような理由があったのでしょうか?
神戸には山と海があります。あえて商業エリアから少し離れて、ゆったりとした空気の中でお買い物をしていただきたいという思いがありました以前、オッフェンがデビューしたばかりの頃、人と自然の共存が体感できる文化・芸術をテーマにしたGREENable HIRUZENや、六甲山の「六甲サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)」という、アートやレストランが併設された施設で、早い段階から私たちの靴を扱っていただいていた時期があったんです。そこで過ごす豊かな時間の中にこそ、私たちのプロダクトが馴染む手応えを感じました。自分たちが理想とするショップのイメージが、百貨店のポップアップのような賑やかさとは別の、静かな場所にあると確信したんです。
ーーそれで、北野というロケーションに辿り着いたのですね。
はい。旗艦店を作るとなったとき、北野の空気感がしっくりくるなとぼんやり考えていました。たまたまこの場所に出会って足を踏み入れた瞬間、「ここはいい気が流れているな」と感じたんです。お店から山が見える素敵なロケーションで、陽がさんさんと差し込み、一日の時間の流れを肌で感じられる。
北野は、特に神戸の中でも小さいけれど、変わらない風景やヴィンテージマンションといったものを取り壊さずにずっと大切に残している街です。商業的な活気よりも、古いものを今の時代にマッチさせて暮らしている人々の生活の匂いがする。安藤忠雄さんの設計によるこのヴィンテージビルを見たとき、「神戸で出すならここしかない」と決め手になりました。
ーー安藤建築の美しさはもちろん、北野のカルチャーも魅力的ですよね。
そうですね。かつて領事や商人が自邸を構えた洋館群があり、震災を経て残ったものを大切にしながら、今は観光地と居住地が溶け合っています。異文化が入り混じる風通しの良さがあり、文化資産と日常の狭間にあるような不思議な魅力があります。そのミックスされたカルチャーが、私たちの感性にもフィットしたんだと思います。

ーー内装も、元々の造りを活かした贅沢な空間使いが印象的です。
内装自体はほとんど触っていないんですよ。以前の方が使われていた床や天井をそのまま活かし、ヴィンテージ家具を扱う「ブーゲンビリア」さんと相談しながら、世界中の家具やラグを設えました。
空間を二つの表情に分けていて、手前は明るい雰囲気、奥のグレーの床の方は少しシックで落ち着いた印象にしています。百貨店でのポップアップは、どうしても狭いスペースでお客様をお待たせしたり、バタバタと接客せざるを得ない環境でした。だからこそ、店舗では「人のお家に遊びに来た」ような感覚で、ソファに座ってのんびりとお喋りしながら靴を選んでいただきたかったんです。

ーーだから名前に「ショップ」ではなく「ハウス」と付いているのですね。
そうなんです。北野も代官山も、単に物を買う場所ではなく「ハウス」であることにちょっと思いがあるんですよね。贅沢な空間の使い方かもしれませんが、靴を飾る場所よりも、会話が始まる場所であってほしい。そんな「のんびりとしたお店のあり方」が、Öffen(オッフェン)がやりたいことなんです。
それに、私たちは靴のブランドなんですが、フィッティングルームも1つ取り付けています。それは、この場所でいろんな発信をしていくことを想定していたんです。元々神戸はファッションの街と言われています。今はインフルエンサーさん達も多く、ファッションを通して色々なコミュニケーションが出来たらいいな、とは考えていて。今までもコラボレーションイベントなどは多く行ってきました。

靴を売るだけで終わらない、学びと交流の場
ーー日坂さんは以前から「発信できる場所にしたい」とおっしゃっています。それはよくあるプロモーション的な体験設計ではなくて、もっと文化や空気が醸成されいくような何かを想像されているんじゃないかという気がしています。
そうかも知れないですね。東京の広尾で予約制のお店をしていた頃から、あまり変わっていません。当時も、単にプロダクトを売買するだけでなく、エシカルな暮らしやライフスタイルについての「学び」を持ち帰っていただける場所にしたいと考えていました。心の満足感に繋がる、拠り所になる場所が必要だという機運に後押しされた部分もあるかもしれません。
「なぜエシカルが大切なのか」という問いに対して、ファッションという切り口から情報交換ができるコミュニティのような存在でありたい。今はまだ完璧な形ではありませんが、例えばサステナブルな素材を使った特別なプロダクトをじっくりと形にしたり、カフェのような要素を取り入れて、より地元の方々と交流できる場を構築していきたいと考えています。
ーー北野の住民の方々との交流も生まれているのでしょうか?
実は北野は居住されている方がとても多くて、近所の方から「ここでレッスンや習い事をしてほしい」というお声をいただくこともあります。地域の人たちが楽しみながら参加できる環境づくりができれば、理想的なコミュニティになっていくのかなと思っています。

ーー店舗の場所を「あえて歩く場所」に選んでいるというのも興味深いです。
お客様からは「坂が急で大変!」と言われてしまうかもしれませんが(笑)。でも、歩くからこそ見つけられる景色や出会いって、必ずあると思うんです。
今は何でも便利になりすぎて、スマホで地図を見ながら目的地に最短時間で到着することもできる時代です。でも、お散歩のついでに寄り道をしたり、オッフェンに来る道中で素敵なカフェを見つけたり。そんな「歩くこと」が生む豊かさを提案したいんです。私自身、旅行でも目的地以外の寄り道が大好きなので、北野という街を丸ごと楽しんでいただけたら嬉しいですね。
実際、お店のエリアに近いおすすめマップをGOOGLE MAPで共有しているのもそういったメッセージを込めています。実際、東京や京都から訪れた方々にご紹介すると、とても喜んでいただけるんです。おすすめしたルートを楽しんでいるお客様を見かけると嬉しいですし、私自身目的地以外の寄り道をすることがやっぱり好きなので、そういう感覚で北野の歩いていただけたらいいなと思います。

組織を一本の「大木」に見立てたアート
ーー店内に飾られているロク・ヤンセンさんのアートには、どのような思いが込められているのですか?
ロクさんは六甲山に住んでいらっしゃって、日々大自然に囲まれて暮らすライフスタイルなんですよね。携帯のカメラには草花や鳥たちの写真ばかりがおさめられています。それを拝見していたので、描いてもらうならロクさんだな、とすぐに思いつきました。
お店に飾る絵なので、ストーリーがほしいなと思ってお客様にとっては観賞用でありながら、「こういう思いを忘れないでね」というスタッフへのメッセージボードでもあるものになりました。私たちのブランドを一本の木に例えると、私たちスタッフは一つの場所に集まっているわけではなく、東京や神戸など離れた場所で活動しています。それでも同じ方向を向くためのツールが欲しかったんです。
一本の大木が成長するには、光や風、水、そして周りにいる虫たちの存在が欠かせません。枝分かれした一本一本の枝や葉が、スタッフ一人ひとりの個性であり、そこに関わる人たちとの出会いです。みんながそれぞれの立ち位置で光合成をしながら、一つのブランドを一緒に育てていこうというメッセージを込めました。

ーー北野と代官山の両方に、同じ物語を持つ絵があるのですね。
手描きの3連作を2セット描いていただきました。北野には彩りのあるものを、代官山には鉛筆だけで描かれたものを飾っています。離れていても同じ思いを忘れないように。お客様への鑑賞用でもありますが、私たちスタッフにとっても大切なメッセージボードなんです。
ただ靴を売るのではなく、その先にある豊かな時間を届けたい。北野の坂道を登り、扉を開けた先に広がる『ハウス』という空間には、日坂さんのそんな純粋な願いが満ちています。一歩踏み出すたびに新しい景色に出会えるこの街で、オッフェンの靴は、あなたの日常をより軽やかに、そして心豊かなものへと導いてくれるはずです
information
Öffen Kitano House
〒650-0002
兵庫県神戸市中央区北野町2-7-18 リンズギャラリー2階
営業時間: 3月-10月 10:00-19:00 2月-12月11:00-18:00(火水休み/祭日の場合は営業)TEL:078-855-5562
神戸に来たらエシカルなお店に立ち寄ってみよう!
私たちがおすすめするショップをGoogleマップにまとめました。
🔗 Öffen the travel guide– Kitano Walkをチェックする
🔗 Öffen直営店のショップリストはこちらから
Öffen Journal Editorial Team
text: YUKA SONE SATO (LITTLE LIGHTS)

2022年にオープンしたÖffen Kitano Houseは、コーヒーショップや書店が立ち並ぶ、坂道の途中。安藤忠雄氏が設計したヴィンテージビルの2階に位置しています。駅から少し離れたこの立地に旗艦店を設けたのは、心地良く散歩をしながら街の素敵なものを五感で楽しんでほしいと言う思いが込められているから。Öffen Kitano Houseを通して、お客様だけでなく、スタッフや地域といった全ての関わり合う人々に届けていきたいものがあります。長年のブランドビジネスのキャリアを持つディレクター日坂がたどり着いた、ひとつの答えなのかもしれません。
ーー神戸でお買い物と言えば、旧居留地や大丸周辺が中心です。旗艦店を北野に選んだのには、どのような理由があったのでしょうか?
神戸には山と海があります。あえて商業エリアから少し離れて、ゆったりとした空気の中でお買い物をしていただきたいという思いがありました以前、オッフェンがデビューしたばかりの頃、人と自然の共存が体感できる文化・芸術をテーマにしたGREENable HIRUZENや、六甲山の「六甲サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)」という、アートやレストランが併設された施設で、早い段階から私たちの靴を扱っていただいていた時期があったんです。そこで過ごす豊かな時間の中にこそ、私たちのプロダクトが馴染む手応えを感じました。自分たちが理想とするショップのイメージが、百貨店のポップアップのような賑やかさとは別の、静かな場所にあると確信したんです。
ーーそれで、北野というロケーションに辿り着いたのですね。
はい。旗艦店を作るとなったとき、北野の空気感がしっくりくるなとぼんやり考えていました。たまたまこの場所に出会って足を踏み入れた瞬間、「ここはいい気が流れているな」と感じたんです。お店から山が見える素敵なロケーションで、陽がさんさんと差し込み、一日の時間の流れを肌で感じられる。
北野は、特に神戸の中でも小さいけれど、変わらない風景やヴィンテージマンションといったものを取り壊さずにずっと大切に残している街です。商業的な活気よりも、古いものを今の時代にマッチさせて暮らしている人々の生活の匂いがする。安藤忠雄さんの設計によるこのヴィンテージビルを見たとき、「神戸で出すならここしかない」と決め手になりました。
ーー安藤建築の美しさはもちろん、北野のカルチャーも魅力的ですよね。
そうですね。かつて領事や商人が自邸を構えた洋館群があり、震災を経て残ったものを大切にしながら、今は観光地と居住地が溶け合っています。異文化が入り混じる風通しの良さがあり、文化資産と日常の狭間にあるような不思議な魅力があります。そのミックスされたカルチャーが、私たちの感性にもフィットしたんだと思います。

ーー内装も、元々の造りを活かした贅沢な空間使いが印象的です。
内装自体はほとんど触っていないんですよ。以前の方が使われていた床や天井をそのまま活かし、ヴィンテージ家具を扱う「ブーゲンビリア」さんと相談しながら、世界中の家具やラグを設えました。
空間を二つの表情に分けていて、手前は明るい雰囲気、奥のグレーの床の方は少しシックで落ち着いた印象にしています。百貨店でのポップアップは、どうしても狭いスペースでお客様をお待たせしたり、バタバタと接客せざるを得ない環境でした。だからこそ、店舗では「人のお家に遊びに来た」ような感覚で、ソファに座ってのんびりとお喋りしながら靴を選んでいただきたかったんです。

ーーだから名前に「ショップ」ではなく「ハウス」と付いているのですね。
そうなんです。北野も代官山も、単に物を買う場所ではなく「ハウス」であることにちょっと思いがあるんですよね。贅沢な空間の使い方かもしれませんが、靴を飾る場所よりも、会話が始まる場所であってほしい。そんな「のんびりとしたお店のあり方」が、Öffen(オッフェン)がやりたいことなんです。
それに、私たちは靴のブランドなんですが、フィッティングルームも1つ取り付けています。それは、この場所でいろんな発信をしていくことを想定していたんです。元々神戸はファッションの街と言われています。今はインフルエンサーさん達も多く、ファッションを通して色々なコミュニケーションが出来たらいいな、とは考えていて。今までもコラボレーションイベントなどは多く行ってきました。

靴を売るだけで終わらない、学びと交流の場
ーー日坂さんは以前から「発信できる場所にしたい」とおっしゃっています。それはよくあるプロモーション的な体験設計ではなくて、もっと文化や空気が醸成されいくような何かを想像されているんじゃないかという気がしています。
そうかも知れないですね。東京の広尾で予約制のお店をしていた頃から、あまり変わっていません。当時も、単にプロダクトを売買するだけでなく、エシカルな暮らしやライフスタイルについての「学び」を持ち帰っていただける場所にしたいと考えていました。心の満足感に繋がる、拠り所になる場所が必要だという機運に後押しされた部分もあるかもしれません。
「なぜエシカルが大切なのか」という問いに対して、ファッションという切り口から情報交換ができるコミュニティのような存在でありたい。今はまだ完璧な形ではありませんが、例えばサステナブルな素材を使った特別なプロダクトをじっくりと形にしたり、カフェのような要素を取り入れて、より地元の方々と交流できる場を構築していきたいと考えています。
ーー北野の住民の方々との交流も生まれているのでしょうか?
実は北野は居住されている方がとても多くて、近所の方から「ここでレッスンや習い事をしてほしい」というお声をいただくこともあります。地域の人たちが楽しみながら参加できる環境づくりができれば、理想的なコミュニティになっていくのかなと思っています。

ーー店舗の場所を「あえて歩く場所」に選んでいるというのも興味深いです。
お客様からは「坂が急で大変!」と言われてしまうかもしれませんが(笑)。でも、歩くからこそ見つけられる景色や出会いって、必ずあると思うんです。
今は何でも便利になりすぎて、スマホで地図を見ながら目的地に最短時間で到着することもできる時代です。でも、お散歩のついでに寄り道をしたり、オッフェンに来る道中で素敵なカフェを見つけたり。そんな「歩くこと」が生む豊かさを提案したいんです。私自身、旅行でも目的地以外の寄り道が大好きなので、北野という街を丸ごと楽しんでいただけたら嬉しいですね。
実際、お店のエリアに近いおすすめマップをGOOGLE MAPで共有しているのもそういったメッセージを込めています。実際、東京や京都から訪れた方々にご紹介すると、とても喜んでいただけるんです。おすすめしたルートを楽しんでいるお客様を見かけると嬉しいですし、私自身目的地以外の寄り道をすることがやっぱり好きなので、そういう感覚で北野の歩いていただけたらいいなと思います。

組織を一本の「大木」に見立てたアート
ーー店内に飾られているロク・ヤンセンさんのアートには、どのような思いが込められているのですか?
ロクさんは六甲山に住んでいらっしゃって、日々大自然に囲まれて暮らすライフスタイルなんですよね。携帯のカメラには草花や鳥たちの写真ばかりがおさめられています。それを拝見していたので、描いてもらうならロクさんだな、とすぐに思いつきました。
お店に飾る絵なので、ストーリーがほしいなと思ってお客様にとっては観賞用でありながら、「こういう思いを忘れないでね」というスタッフへのメッセージボードでもあるものになりました。私たちのブランドを一本の木に例えると、私たちスタッフは一つの場所に集まっているわけではなく、東京や神戸など離れた場所で活動しています。それでも同じ方向を向くためのツールが欲しかったんです。
一本の大木が成長するには、光や風、水、そして周りにいる虫たちの存在が欠かせません。枝分かれした一本一本の枝や葉が、スタッフ一人ひとりの個性であり、そこに関わる人たちとの出会いです。みんながそれぞれの立ち位置で光合成をしながら、一つのブランドを一緒に育てていこうというメッセージを込めました。

ーー北野と代官山の両方に、同じ物語を持つ絵があるのですね。
手描きの3連作を2セット描いていただきました。北野には彩りのあるものを、代官山には鉛筆だけで描かれたものを飾っています。離れていても同じ思いを忘れないように。お客様への鑑賞用でもありますが、私たちスタッフにとっても大切なメッセージボードなんです。
ただ靴を売るのではなく、その先にある豊かな時間を届けたい。北野の坂道を登り、扉を開けた先に広がる『ハウス』という空間には、日坂さんのそんな純粋な願いが満ちています。一歩踏み出すたびに新しい景色に出会えるこの街で、オッフェンの靴は、あなたの日常をより軽やかに、そして心豊かなものへと導いてくれるはずです
information
Öffen Kitano House
〒650-0002
兵庫県神戸市中央区北野町2-7-18 リンズギャラリー2階
営業時間: 3月-10月 10:00-19:00 2月-12月11:00-18:00(火水休み/祭日の場合は営業)TEL:078-855-5562
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私たちがおすすめするショップをGoogleマップにまとめました。
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Öffen Journal Editorial Team
text: YUKA SONE SATO (LITTLE LIGHTS)