本とはもっと自由に、気軽に付き合える。第3回「Öffen Book Club」トークセッションを開催

今回で第3回目を迎えた、Öffenの本の循環プロジェクト「Öffen Book Club」。2026年10月15日(木)〜10月25日(日)までの期間、Öffen the House代官山店では「家の外も、家の中も、心地よく。」をテーマに、キャンドルの灯りのもとで本を開く夜の読書会や、おうち時間を心地よく過ごすためのアイテムをセレクトした「ウェルネス本棚」といったコンテンツを展開しました。
B Corp取得後初のイベントとなった今回は、同じくB Corp認証企業であるバリューブックスとのコラボレーション企画を実施。お客様がお持ちになった本と同じ冊数の本を交換できる「Öffen × VALUE BOOKS Book Exchange」では、バリューブックスが買取できなかった本の中から、テーマに合わせた本をセレクト。表紙やタイトルを見せずにラッピングされた本を、添えられた短いメッセージから選ぶ「Blind book」も登場。


2026年10月15日(木)は、バリューブックス取締役/ブック・コーディネーターの内沼晋太郎さんをゲストに迎え、J-WAVEでナビゲーターも務めるノイハウス萌菜さんをモデレーターとしたトークセッションを行いました。秋らしい、ひんやりとした空気が心地よい夜に、本との出会い方、選び方、読み方のヒントとなる、「本との付き合い方」について語っていただいたスペシャルなトークを抜粋してお届けします。

“紙の本”が持つ普遍的な価値とは?
みなさんが最後に本を読んだのはいつですか? 通勤中や家にいる時間など、気づけばスマホの画面をスクロールしてしまい、「読書をする」という行為からすっかり離れてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。デジタルメディアを通して、誰もが情報や知識を気軽に吸収できるようになった現代において、あえて紙の本を読むことの魅力とは何なのでしょうか?
ノイハウス萌菜(以下、ノイハウス):今の時代、紙の本を読む魅力はどういうところにあるのか、改めて内沼さんの考えをお聞きしてもよろしいでしょうか。
内沼晋太郎(以下、内沼):そうですね、今って、何かわからないことがあると、みんなインターネットで検索したり、AIに聞いたりするようになってきているじゃないですか。そうなると、その知識は別に本から得る必要はないのかもしれないなとは思うんです。でも、インターネットもAIも、同じことを調べると、次は違う答えが返ってくることがある。前に検索した情報が見つからなくなったり、違う言い方をされたりして、結果が変化しますよね。一方、紙の本は印刷されて固定されているので、いつ誰が読んでもずっと変わることがない。そのことが、一周回って価値になっている感じがします。だから、変わらないものとして、大切に持ち続けることができるんですよね。
あと、同じものを読んだとしても、受け取る側は、100人いれば100人それぞれが違うことを読み取ると思うんです。それが本として固定されていれば、同じものを土台に、その100人が話し合える。これが、インターネットやAIの答えのようにぐにゃぐにゃ変化していたら、それを元に話し合えないじゃないですか。本は内容が固定されているからこそ、感想が言えたり、議論ができたりする。これまでは情報や知識を得るもの、物語で感動するものっていうイメージが本だったかもしれませんが、これからは「確定したもの、土台となるもの」ということが、本の大切な価値のひとつになっていくのかなと思っています。
ノイハウス:作る側としては、「確定させる」というのも結構勇気がいることのような気がします。
内沼:昔は、作家の人たちは原稿用紙に書いていましたよね。もちろん書き直すことはあっただろうけど、あまりにも書き直していたら原稿用紙が真っ黒でぐしゃぐしゃになってしまうから、今ほど書き直さなかったんじゃないかなって思うんです。だけど今はデジタルで、ああじゃない、こうじゃないって、永遠に書き直すということができてしまう。だから今の作家は、昔の作家よりも直す量が増えていると思うんですよ。技術が進めば進むほど、作品を「これで完成!」と確定させる勇気が持てなくなるだろうなと。じゃあ今の作家はどこで完成させるかっていうと、それは多分、締め切りが来たときですね。
ノイハウス:なんだかリアルですね(笑)。でも、時間で区切らないと、けじめがつかなそうですもんね。
内沼:そういうことです(笑)。
「おもしろそう!」と思って本を手に取った瞬間、読書の1割は終わっている
トークセッションが進むうち、話題は、参加者たちと本との関係性へ。すると、多くの人が、「本を読みたくてもなかなか読むことができない」という状況にあることがわかりました。また、気になるタイトルの本を買って、それで満足してしまうという意見も。
ノイハウス:実は私も、日常の忙しさに追われて、なかなか本を読む時間が作れずにいる1人なのですが……。内沼さんにはぜひ、そんな私たちに本を読むパワーを送っていただけたらと(笑)
内沼:本を買ったら「最初から最後まで読まなきゃ」って思っていたり、本を読めないことに罪悪感を持っていたりする人が多いようですけど、さっきお話に出た、タイトルを見ただけで満足するっていうのは全然ありだと思っていて。僕の感覚としては、「これおもしろそう」と手に取ったところで読書の1割ぐらいは終わっていると思ってるんです。
ノイハウス:そんなにですか!?(笑)

内沼:そこからさらに、パラパラっとページをめくったら2割、買って帰ったら3割は終わっていると思っています(笑)。ちなみに、日本では年間で何冊の本が出版されていると思いますか? 7万冊ですよ? そんなに膨大な数の中から、自分はこれだなと思った本と出会えたことだけでも奇跡的なことだし、嬉しいことなんです。だから、そこをもっと大事にしていい。そのあと、たとえ最初の20ページしか読めなかったとしても、それも読書のひとつの形だと思います。例えば、テレビやラジオだって、最初から最後まで観たり聴いたりしないこともあるじゃないですか。本との付き合い方も、それぐらいでいいと思うんです。
ノイハウス:本屋さんに足を運んだけで読書の何割かクリアしていると思えば、もっと気軽に本への興味も持てそうですよね。
内沼:これもよく言うことなんですけど、僕は本屋さんに行くことって世界一周旅行みたいなだと思っていて。あらゆる本を、パラパラとページをめくりながら見て歩けるって、なんて贅沢なんだろうなと。もちろん、自分の目的の本を買って帰るだけでもいいんですけど、ちょっともったいないなとも思うんです。せっかく本屋さんに行けば広い世界への扉がたくさん開かれているのだから、本屋さんをぜひ散歩するような感覚で行ってみてほしい。端から端まで歩いていると、自分とは関係ないと思っていたジャンルの本棚から、ふと、思いがけない1冊との出会いがあったりする。未知の世界への扉をどんどん開かせてくれる本屋さんは、本当に大盤振る舞いな存在だと思います。

本は見える場所にあってこそ、豊かさを感じられる
「本とはもっと気軽な付き合いでいい」という意見から、参加者と本の関係性をやわらかにときほぐしていった内沼さん。最後に、本がある豊かな生活とは何かを内沼さんにお話しいただきました。
ノイハウス:今回の「Öffen Book Club」は、「家の外も、家の中も、心地よく。」というテーマのもとに開催していますが、本はまさに、家の外でも中でもそばに置いておける存在ですよね。内沼さんは普段、日常のどんなタイミングや場所で本を読まれるのですか?
内沼:家には枕元に置いてある本棚があるので、わりと朝起きて読むことが多いですね。朝本を開くと、だんだん目覚めていく感覚が心地よくて、それがいいんです。朝起きて最初に、うっかりスマホを見ちゃったりもするじゃないですか?(笑)
ノイハウス:そうですね、つい(笑)
内沼:スマホの強い光でガツンと刺激を入れるよりも、本でゆるやかに体を目覚めさせる。本当は脳も、それくらいのペースで起きたいんじゃないかなと思います。遅刻しちゃうんで、もちろん時計は確認した方がいいですけどね。あと、僕は本棚の周りでうろうろすることがすごい好きなので、家ではつねに本棚の近くにいますね。適当に本を取って、パラパラと何ページか読む。こんなこと書いてあるけど、そういえば他にもこういう本を持っていたなとか思いながら、また別の本を取って読む。そういう読書がいちばん楽しいですね。
ノイハウス:気になって、ちょっと読んでというのが内沼さんの読書ルーティンなんですね。それには、まず本を目に入る場所に置くというのが第一歩かなと思いました。
内沼:タイトルを見て買って、それで満足しちゃうってことは、実は僕もすごいあるんですよ。でも逆にせっかく買って帰ったなら、家の中でタイトルが見えていない本は、もう持っていないのと同じなだなって。本棚がいっぱいになって収納しきれなくなると、本を段ボールに入れてしまうことってあるじゃないですか。これ、すごいもったいないと思うんです。やっぱり本は、タイトルが見えてこそ、豊かな生活だと思います。もちろん、違う考えの人がいてもいいんですけどね。
ノイハウス:家のスペース的に、全ての本を置くのは難しいという人もいますしね。
内沼:そういう場合は、それでも取っておきたい大切な本以外、僕は売ったり、人にあげたりしてしまってもいいんじゃないかと思います。そして、次の読み手に循環させる。生活の中で目に入る場所におけば、「いつか、また読みたいな」「そういえば、これを読んですごく感動したな」とか思えるわけですよね。僕は、それが本を持つことのよさだと思っています。
ノイハウス:内沼さんの本との付き合い方、参考になった方も多いと思います。私も早速、本棚を置く位置を見直したくなりました。今日はありがとうございました。
「すきま時間にパラパラとページをめくるだけ、タイトルを見ただけでも読書になる」という内沼さんの言葉は、“紙の本を読む”という行為へのハードルの高さを感じていた人にとっては、まさに目から鱗だったのではないでしょうか。本はもっと、自由に、気軽に楽しむもの。あなたも、まずは本屋さんへ足を運んで、気になる1冊を見つけてみることからはじめてみませんか?

家での時間がもっと心地よく。すっとそばに置いておきたいプロダクトを厳選
ウェルネス本棚では、Öffenのブランド理念「一歩ずつ、心地いいほうへ」とマッチするブランドをご紹介。香りやインテリア、ドリンクを通して、自分らしいウェルビーイングな暮らしのヒントとなるアイテムを集めました。