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Journal

2026.08.25

地方から全社へ。福岡店舗マネージャー甲斐真奈美が改革する「心地よい一歩」

九州エリア初の店舗として始動したÖffen福岡天神店。こちらの記事では、ブランド・コミュニケーション・マネージャーの甲斐真奈美がリーダーシップを担い、新たな取り組みが次々と生まれていることをご紹介しました。今回は、その内容をさらに深堀りし、アイデアがどのように生まれているか、さらにそれをどのように広げていくか。甲斐さんの経験やサステナビリティへの思いや、ブランドの未来に向けたビジョンをお聞きしました。福岡のパワースポットのひとつである糸島の魅力もご紹介します。

 

プロフィール

甲斐真奈美(かい・まなみ)ブランド・コミュニケーション・マネージャー。福岡のセレクトショップで販売のキャリアをスタートし、上京後はアパレルブランドの店舗に勤務。その後、商業施設や店舗の立ち上げをコンセプトメイキングから商品選定、ディスプレイまで一貫して手がけるクリエイティブ集団・method inc.で経験を積み、企業やメーカーの商品開発サポートに携わる。2024年、Öffen福岡天神店の立ち上げに参画。hinata洗剤の量り売り導入、網エコたわしの展開、店内音楽の制作、地域イベントへの出店など、福岡発の企画を続々と実現している。

 

甲斐さんを起点にした取り組みが全国で採用されています。なかでも最も印象に残っているものはなんですか?

一番思い入れが強いのは、hinata洗剤さんの導入です。福岡天神店の立ち上げに関わることになったとき、プロデューサーの日坂から「なにかいい企画はありませんか」と声をかけられて、いくつか提案をしました。そのなかの一番の推しが、洗剤だったんです。オッフェンの靴は洗えるので、「どの洗剤で洗ったらいいの?」という答えを明確に提示できたらいいなと思っていて。hinata洗剤さんは植物性由来100%。地球にもお肌にも優しくて、オッフェンにぴったりだと感じていました。

 

ちょうど糸島で「発酵フェス」が開催されて、hinata洗剤さんも出展されると知り、この機会にと直接会いに行きました。まずお会いして話したかったんです。「どんな取り組みならできるか」を一緒に相談するなかで、量り売りを導入して、オッフェンのオリジナルボトルを作るというアイデアにたどり着きました。最初はオリジナルで洗剤を作りたいと考えていましたが実現が難しく、一度はなくなりかけた企画を、相談し合いながら実現できた。だからこそ、いちばん思い入れがあります。

 

hinata洗剤のお取り扱いや量り売りも、甲斐さんの提案からスタート。漁網をアップサイクルした網エコたわしを使って、オッフェンの靴や中敷きを洗うことで長く清潔に履き続けることができます。

hinata洗剤のお取り扱いや量り売りも、甲斐さんの提案からスタート。漁網をアップサイクルした網エコたわしを使って、オッフェンの靴や中敷きを洗うことで長く清潔に履き続けることができます。

サステナビリティを軸にさまざまな取り組みを行うなかで、「甲斐さんらしさ」はどんなところにあると思いますか?

自分のなかで大事にしているのは「つながり」です。一度導入したらそれで終わり、ではなくて。hinata洗剤さんの場合は、導入後も月に一度お越しいただいて、一緒にポップアップを開催しています。網エコたわしを作られているのは、長崎・雲仙の漁師さん。遠方ですが、そのときも直接会いに行って、お話をさせていただきました。

 

今はZOOMだけで完結することも多い時代です。それでも、時間が許す限り直接お会いして、生の声を聞いて、信頼関係を築く。導入してからも、なにかしら結びつきを持って一緒にやっていけるように心がけています。たとえばhinata洗剤さんのポップアップのときには、網エコたわしもずらっと並べて、一緒にご紹介したり。ものを大事にすることと、人とのつながりを大事にすることは、全部つながっていると思うんです。

 

残布を廃棄せずに、袱紗(ふくさ)やバッグにアップサイクルする取り組みを行っている「kaene」とのコラボレーションも甲斐さんのアイデア。端材をご提供いただき、地元のクラフトマンシップを活かした「RIBBON PROJECT」を六本松の蔦屋書店で開催

残布を廃棄せずに、袱紗(ふくさ)やバッグにアップサイクルする取り組みを行っている「kaene」とのコラボレーションも甲斐さんのアイデア。端材をご提供いただき、地元のクラフトマンシップを活かした「RIBBON PROJECT」を六本松の蔦屋書店で開催

実際に会いに行くなかで、新しいアイデアが生まれることもありますか?

ありますね。網エコたわしの漁師さんを訪ねたとき、作業場に網が溜まっているのを見つけて、「あれはなんですか?」と聞いたんです。たわしを作るには網に一定の長さが必要で、サイズが微妙に足りないものが弾かれてしまうとお聞きしました。それなら、小さいサイズでお試し用を作ったらいいんじゃないかなと、その場で思いつきました。ポップアップのイベントで、ちいさな網エコたわしをサンプルとしてお客様にお渡しして、まず体験してもらう。直接足を運んだからこそ生まれたアイデアだと思います。

 

オッフェンでは、ヴィンテージの家具を積極的に取り入れています。甲斐さんはオープニング準備にも、積極的に同行

 

甲斐さんの提案力・実行力を支えているのはなんだと思いますか?

オッフェンに関わる前、企業やメーカーさんの商品開発のお手伝いをする仕事をしていました。素敵な商品なのに、なかなか世の中に受け入れてもらえない。それをどんなコンセプトで、どこで販売したらいいのか。そんなお手伝いを続けるうちに、「これはこうしたらもっと良くなるよね」と普段から考える癖がついたんです。

 

オッフェンはすごく素敵なものづくりをしているブランド。だから「このブランドがもっと良くなるには?」を、常に頭の片隅で考えています。プロデューサーの日坂(さとみ)から「こういうことをしたい」と言われたとき、「私もそう思っていました」と乗っかる形が多いのは、そのおかげかもしれません。いつも考えていることと、たずねられるタイミングが合致するんです。それから、周りのスタッフとの関わりから企画が発展することも大いにあります。本当に、手助けしてくれる方に恵まれているんです。

 

スタッフとの関わりから、実際に採用された事例もあるのでしょうか?

店内の音楽です。以前は店舗ごとに違う音楽が流れていて、世界観とマッチしないタイミングもありました。そのときに入ってこられたお客様には、その印象がついてしまう。ブランドとして統一しないといけないな、とずっと思っていたんです。「作りたいです」と手を挙げたものの、私は音楽に詳しくない。それなら誰が力を貸してくれるかなと考えて、頼ったのがサポーターもしてくださったり、フォトグラファーやイベンターとしても活躍する松永さんでした。

 

私たちの考えに深く共感してくれている人なので、話が早くて。「オッフェンなら旅しているイメージがいいよね」「旅先で聴きたくなるアップテンポな音楽がいいよね」と、私が1言えば10返してくれる。提案してくれたセットリストは日坂も気に入って、そのまま採用されました。本当に助けられています。

 

ブランドの企画に携わってきた経歴について教えてください。

17歳ごろから福岡のセレクトショップで働き始めて、上京してアパレルの店舗に勤めました。20代前半でいったん福岡に戻ったとき、ご縁があって東京のmethod inc.という会社に入ることになったんです。商業施設やお店のオープンに際して、コンセプトメイキングから商品選定、ディスプレイ、スタッフへのレクチャーまで、お店に関わることをまるっと手がける会社でした。

 

デザイン思考のようなものの考え方も、ここで身につきました。細かく教えてもらえる環境ではなくて、すべて見て学ぶ現場主義。できる大人たちのなかに、販売員上がりの私が飛び込んだので、とにかく必死でした。それでも先輩方が「一緒にやろうか」とサポートしてくださって。一つひとつのアイテムについてメーカーさんと細かくやりとりをして、信頼関係を作る。その姿勢は、ここで叩き込まれたものです。今のオッフェンでの仕事に、ダイレクトに生きていると感じます。

 

オッフェンでは、箱の代わりに繰り返し使えるタオルでお包みしています。そのまま持ち帰ることも出来ますが、紙袋をご希望のお客様に向けて、使い終わった紙袋を参加店舗へ持ち込み繋いでいく取り組みである「NICE PASS」に参加したのも甲斐さんのアイデア。ゴミを減らし、資源を有効活用するつながりのある取り組みです。

オッフェンでは、箱の代わりに繰り返し使えるタオルでお包みしています。そのまま持ち帰ることも出来ますが、紙袋をご希望のお客様に向けて、使い終わった紙袋を参加店舗へ持ち込み繋いでいく取り組みである「NICE PASS」に参加したのも甲斐さんのアイデア。ゴミを減らし、資源を有効活用するつながりのある取り組みです。

甲斐さんが思い描く、オッフェンの将来のビジョンはなんですか?

シューズのブランドではあるけれど、もっと生活に密着したブランドになっていったらいいなと思っています。靴は日々履くもの。それを大前提としながら、洗剤を導入したように、生活の一部に感じられるものをもっと広げていきたい。ブランドの認知とお客様の喜びがつながっていく、そんな企画をこれからいろいろ仕掛けていけたらと思っています。

 

ブランドにとって、今後どのような存在になっていきたいですか?

今の使命は、福岡から九州へ、ブランドの認知を着実に広げていくことだと思っています。福岡ではまだこれから知っていただく段階なので、見せる場所を変えて、間口を広げることにすぐ取り組みました。百貨店が中心だったポップアップを、ライフスタイルを重視する人たちが集まる六本松の蔦屋書店で開催したり、サステナブルに関心の高いファミリー層が集まる福岡市の油山で開催されるマザーツリーマーケットのような野外イベントに出店したり。知ってもらう機会を、自分たちから作りにいっています。

 

福岡だからできることも、たくさんあります。福岡は横のつながりがすごく広くて、コラボレーションにつながりやすいんです。hinata洗剤さんにお声がけしたときも、「神戸のブランドだけれど、九州一号店が福岡にできる」というだけで、ぐっと距離が縮まりました。長崎のNICE PASSプロジェクト発起人のカリオモンズコーヒー代表 伊藤さんとお話ししたときも同じです。九州というだけで生まれる団結力は、他県にはない強みで、みんながそこを誇りに思っている。九州にお店があることの意味を大切にしながら、福岡をしっかり盛り上げていきたいです。

 

人から地域とつながる。糸島おすすめスポット紹介

福岡の糸島は、10数年前から新しい作り手が集まり、地域や生活に密着した商いが営まれています。それぞれにゆかりのある方々とともに、特別なスポットをご紹介します。

 

hinata洗剤と、醤油蔵をリノベした「伊都安蔵里(いとあぐり)」

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

「糸島の魅力は、人と食べ物と自然。海も山も近くて温泉もあって、すべてがぎゅっと凝縮されている。30年ほど前、小さな海辺のカフェにサーファーたちが集まり、ビーチクリーンをきっかけに生まれたのが、福岡が誇る野外フェス「サンセットライブ」。近年は有機農法に取り組む移住者も増えた。自由な空気に惹かれて人が集まり、つながっていく。それが糸島らしさだと思います」hinata洗剤かっちゃん・みどやん

築170年の醤油蔵をリノベーションした古民家の中に、4つのブランドが入る複合施設。hinata洗剤を手がけるお二人と、プロデューサーの日坂が初めて出会ったカフェでもあります。使用する水はすべて地下から汲み上げられた井戸水で、昭和天皇皇后もお飲みになったことがあるのだそう。物販ではhinata洗剤の量り売りが導入されています。この日は、hinata洗剤のお二人も駆けつけてくれました。ポップアップ中だった「旅人カレー」に舌鼓。

 

伊都安蔵里/いとあぐり @itoaguri / 旅人カレー @tabibito_curry

 

地産地消ジェラートで地元を盛り上げる「イートローカル」

メーカーの企画職を経て糸島で起業されたオーナーの北古賀昭郎さん。天神でジェラートの感動を味わい、糸島での展開を思いついたそう。「糸島は良質な塩など食材に恵まれています。意外性のあるギャップを戦略的に展開することで、感度ある人々に評価されています」

メーカーの企画職を経て糸島で起業されたオーナーの北古賀昭郎さん。天神でジェラートの感動を味わい、糸島での展開を思いついたそう。「糸島は良質な塩など食材に恵まれています。意外性のあるギャップを戦略的に展開することで、感度ある人々に評価されています」

メーカーの企画職を経て糸島で起業されたオーナーの北古賀昭郎さん。天神でジェラートの感動を味わい、糸島での展開を思いついたそう。「糸島は良質な塩など食材に恵まれています。意外性のあるギャップを戦略的に展開することで、感度ある人々に評価されています」

イートローカル(その土地で作られた食べ物を、その土地で消費すること)をテーマに展開するジェラート屋さん。オーガニック食材を使用し、エアストリームで9種類、通販では合計15種類を展開。犬用のジェラートも販売しています。オーナーである亀六商店の北古賀昭郎さんは、福岡生まれの文具・雑貨メーカー、ハイタイドを立ち上げた方。ジェラートのほかに雑貨のお店も営まれていて、日本全国のさまざまなブランドとのコラボレーションも行っています。

 

Loiter Market @loitermarket

 

漁師小屋から九州の工芸を発信する「HEY&Ho.」

波佐見焼を販売する長崎県の陶磁器メーカー「マルヒロ」の姉妹店。西浦漁港の漁師小屋を活用した趣のある店舗で人気のエリアからあえて距離をおき、じっくりと向き合える人たちに向けて発信しています。クスっと笑ってしまうものから、純粋に可愛くて持ち帰りたくなる食器や雑貨がずらり。わざわざ訪れる距離ですが、平日でもひっきりなしに人が出入りするほど。福岡と長崎の近さが感じられる、九州の工芸に出会えるスポットです。

 

HEY&Ho. @heyandho_nishinoura

 


 

Information

Öffen 福岡天神店

福岡県福岡市中央区天神1-11-1 ONE FUKUOKA BLDG. 3階
営業時間: 平日 11:00-20:00 / 土日祝 10:00−20:00
TEL:092-401-5335

 

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Öffen Journal Editorial Team
Photographer: MIKI MATSUNAGA
Text: YUKA SONE SATO
Editorial direction: LITTLE LIGHTS